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【弁護士監修】生成AIで著作権侵害になるリスクは?考え方と企業の対策を解説

活用テクニック 基礎知識 プロンプト 公開日:

生成AIを活用してコンテンツを制作する企業が増える一方で、「著作権は誰に帰属するのか」「既存の著作物を侵害していないか」といった疑問を持つ人も多いでしょう。実際に生成AIの利用方法によっては、著作権侵害が問題となる可能性があり、対応を誤ると法的トラブルや企業の信頼低下に繋がるおそれがあります。

この記事では、生成AIと著作権の関係、日本における法的な考え方、著作権侵害となる具体例のほか、企業が取るべき対策について解説します。

30秒で読める本記事の要点

  1. そもそも著作権とは何か
    著作権の考え方や、著作物として保護される範囲などを紹介します。
  2. 生成AIを利用したコンテンツでも著作権侵害のリスクはある
    生成AIを活用したコンテンツであっても、既存の著作物との類似性と依拠性が認められる場合は著作権侵害となる可能性があります。
  3. 著作権侵害のリスクと企業ができる対策
    生成AIを活用したコンテンツが著作権侵害と判断された場合、企業にはさまざまなリスクが発生します。そうならないために企業ができる対策を紹介します。

監修者の紹介

東京弁護士法人
代表弁護士・税理士
森川弘太郎さん

東京弁護士法人
弁護士
坂本玲央さん

ビジネスの課題を生成AIで解決!

QT-GenAI導入ガイド

1. 著作権とは著作物を創作した人を保護する権利のこと

著作権とは、著作物を創作した時点で著作者に自動的に発生する、著作権法に定められた権利のことです。著作物には、思想または感情を創作的に表現した文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものが含まれ、文章やイラスト、写真なども対象となります。

著作権法は著作者などの権利を保護するとともに、著作物の公正な利用との調和を図り、文化の発展に寄与することを目的としています。
そのため、著作権には複製権、上演権、演奏権、上映権、公衆送信権、翻訳権、翻案権など、利用形態ごとにさまざまな権利(支分権)が定められており、原則として著作物を利用する際には著作権者の許諾が必要です。

2. AIと著作権の関係

文化庁「AIと著作権」によると、AIと著作権は、「AI開発・学習段階」「生成・利用段階」「生成物が著作物となるか」を切り分けて考えることが必要となります。ここでは、それぞれの段階で異なるリスクや著作権となるかの判断基準を解説します。

■AIと著作権の関係

2.1. AI開発・学習段階

生成AIは、大量のデータを学習することで文章や画像などを生成できます。この学習過程では、既存の著作物が学習用データとして利用されることもあるでしょう。

日本の著作権法では、情報解析を目的とした著作物の利用について権利制限規定が設けられており、一定の条件のもとで著作権者の許諾なく利用できるとされています。そのため、AI開発のために著作物を収集し、学習用データセットを作成して学習に利用する行為は、原則として許容されています。

ただし、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」などに当てはまる場合は、許諾が必要です。学習目的であれば常に自由に利用できるとは限らず、利用方法によっては個別に検討する必要があります。

2.2. 生成・利用段階

生成AIが出力したコンテンツを公開したり販売したりする段階では、生成AIを利用せずに人が絵や文章を制作した場合と同じ考え方にもとづいて著作権侵害の有無が判断されます。

例えば、AIによって生成した画像や文章をSNSやWebサイトに公開したり、生成した画像をまとめたイラスト集などを販売したりするケースです。
このような利用において、生成された画像や文章が既存の著作物と類似しており、さらにその著作物にもとづいていると認められる場合には、著作権侵害が成立する可能性があります。

そのため、生成AIで出力したものは、公開や商用利用の前に内容を確認し、既存著作物との類似性がないかをチェックすることが大切です。
既存の著作物と類似性があると判断された場合は、「著作権者の許諾を得て利用する」もしくは「既存の著作物の本質的な特徴が残らないように手を加えた上で利用する」などの対応が求められます。

2.3. 生成物が著作物となるか

現行の著作権法では、著作物は「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」であることが前提とされています。そのため、AIの関与が中心で、人の創作的寄与が乏しい成果物については、一般的に著作物性が認められにくいと考えられます。

  • AIの生成物が著作物になる場合

    生成AIを使って人が明確な「創作意図」と「創作的寄与」を持ち、プロンプトの設計や構成、表現の選択・編集などに創作的に関与した場合には、人が表現のための道具としてAIを利用したものと評価される可能性があります。
    このようなケースでは、「創作的寄与」が認められる範囲において、著作物に該当すると考えられます。

  • AIの生成物が著作物となるかの判断基準

    生成AIで出力された生成物の著作物性は、個別の事情を踏まえて判断されるため、一律に判断できるものではありません。
    例えば、詳細な構成や表現を指定して生成した小説と、「猫の画像を生成して」といった簡単な指示で生成した画像では、人の創作的関与の程度が大きく異なります。そのため、著作物性の判断においても評価が変わる可能性があります。

    実務で生成AIを使うには、どのような指示を行ったのか、どの部分に人間が創作的に関与したのかを記録することが、トラブル防止や権利関係の整理に役立つでしょう。

3. 生成AIを活用したコンテンツでトラブルになり得るケース

生成AIを利用した場合でも、著作権侵害の判断基準自体は従来と大きく変わりません。しかし、生成AI特有の利用方法によってトラブルになるリスクが生じるケースがあります。
ここでは、企業が特に注意したい代表的な事例を紹介します。

    <生成AIを活用したコンテンツでトラブルになり得るケース>

  • 生成AIツールの利用規約に違反している
  • 既存の著作物と類似性・依拠性がある
  • 著作者の許諾を得ずに商用利用している

■生成AIを活用したコンテンツでトラブルになり得るケース

3.1. 生成AIツールの利用規約に違反している

生成AIサービスによっては、生成物の商用利用や特定用途での利用に制限が設けられている場合があります。利用規約に反して生成物を使用した場合、サービス提供事業者との契約上の問題が生じる可能性があります。
生成AIツールを導入する際は、商用利用の可否や生成物の権利帰属について事前に確認することが大切です。

3.2. 既存の著作物と類似性・依拠性がある

生成AIの出力が既存の著作物と似ている場合、類似性と依拠性の両方が認められると著作権侵害と判断される可能性があります。

例えば、特定の作品やキャラクターを再現するようなプロンプトを使用した場合、意図せず既存著作物に近い成果物が生成されることがあるため注意が必要です。

ただし、作品のアイデアや作風そのものは著作権の保護対象ではないため、単に雰囲気が似ているだけでは著作権侵害にならないと判断されることが多いでしょう。

生成AIで作成したコンテンツが著作権侵害にあたらないようにするには、下記のことに注意することが大切です。

    <著作権侵害のリスクを低減するために生成AI活用で注意すること>

  • 特定の作品に類似したプロンプトを避ける
  • 生成AIが出力した後に人の手で修正・編集を行う
  • 公開前に類似作品の有無を確認する

3.3. 著作者の許諾を得ずに商用利用している

生成AIを活用してできたコンテンツに既存の著作物との類似性や依拠性が認められた場合、著作者の許諾を得ずに販売・配布すれば著作権侵害と判断される可能性があります。

なお、著作権者からの利用許諾は、口頭でも契約は成立します。ただし、後日トラブルに繋がるおそれもあるため、商用利用の場合は利用条件を契約書や書面で明確にして許諾をとるようにしましょう。

4. 生成AIを活用したコンテンツで著作権侵害が起きた場合の企業への影響

AI生成物が著作権侵害と判断された場合、コンテンツの修正や削除だけでは済まないケースがあります。ここでは、企業が把握しておきたい主なリス クを紹介します。

    <生成AIを活用したコンテンツで著作権侵害が起きた場合の企業への影響>

  • 損害賠償や刑事罰のリスク
  • 差止や販売停止、廃棄のリスク
  • ブランドの信頼性を失うリスク

4.1. 損害賠償請求や刑事罰のリスク

生成AIを活用したコンテンツで著作権侵害が認められると、著作権者から損害賠償を請求されたり、刑事罰の対象となったりする場合があります。
悪質な侵害には10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下(法人は3億円以下)の罰金、またはその両方が科されるおそれもあります。

企業としては、生成AIを利用したからといって責任が免除されるわけではないため、利用前後の確認体制を整備することが重要です。

4.2. 差止や販売停止、廃棄のリスク

生成AIを活用したコンテンツが著作権侵害と判断された場合、著作権者から差止請求を受ける可能性があります。差止請求が認められると、侵害コンテンツの公開停止や販売停止だけでなく、在庫の廃棄などを求められるケースもあります。
すでに商品やサービスとして展開している場合は、事業への損害は少なくありません。

4.3. 企業やブランドへの信頼性を失うリスク

たとえ生成AIを活用したコンテンツが著作権侵害と確定していない場合でも、企業やブランドのトラブルがニュースやSNSなどを通じて拡散される可能性もあります。
企業のコンプライアンス意識に疑問を持たれると、顧客や取引先からの信頼低下に繋がる可能性があります。

そのため、著作権侵害へのリスク対応は、法務上の課題であると同時に、企業ブランドを守るための取り組みでもあるのです。

5. 著作権リスクに備えるための企業の対応策

生成AIの活用を進めるためには、著作権侵害のリスクを正しく理解し、適切な管理体制を整備することが重要です。ここでは、企業が実践したい主な対策を紹介します。

5.1. 社内ガイドラインの整備と従業員の教育

生成AIを安全に活用するためには、社内ガイドラインの整備が欠かせません。入力してはいけない情報や生成物の利用範囲、公開前の確認手順などを明確に定めることで、著作権侵害のリスクを低減できます。

また、ガイドラインを整備するだけでなく、従業員向けの定期的な研修や教育を実施し、従業員の理解を深めることも重要です。特に、対外的に公開するコンテンツについては、法務部門などによるチェック体制を設けることが望ましいと言えます。

AIと著作権に関しては、文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」でチェックリストを公開しているのでそれを確認するのもおすすめです。

5.2 定期的な法的リスクの確認と共有

AIと著作権をめぐる法解釈や公的なガイドラインは、今後も更新される可能性があります。
そのため、文化庁などの官公庁が公表する最新情報を定期的に確認し、社内で共有する体制を整えておくことが重要です。特に、生成AIを業務で利用している企業は、ガイドラインや判例の動向を踏まえて運用ルールを見直すことが求められます。

6. 社内ガイドラインの整備と併せてAIツール選定も重要

企業が著作権侵害のリスクを防ぐためには、社内ガイドラインの整備や従業員への教育だけでなく、「そもそもリスクを発生させないシステム環境」を整えることが極めて重要です。
例えば、一般的な無料の生成AIサービスでは、入力したデータやプロンプト(指示文)がAIの再学習に利用されてしまうリスクがあります。もし従業員が他者の著作物や自社の機密情報を不用意に入力してしまい、それがAIに学習されて二次出力された場合、意図しない著作権侵害や情報漏洩トラブルに発展しかねません。
そのため、企業が安全に生成AIを活用するなら、入力データが再学習に利用されない、セキュリティ対策が徹底された専用ツールの選定が不可欠です。
そこでおすすめなのが、九電グループのQTnetが提供する法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI」です。

■機能一覧

6.1. 安心のセキュリティ設計

QT-GenAI」は、企業ごとに独立した環境で提供され、入力したデータがAIの学習に利用されない設計のため、機密情報を扱う業務でも活用しやすい生成AIツールです。

また、NGワード設定やアクセス制限、フィルタリング機能などにより、企業ごとの運用ルールに応じた管理ができます。閉域回線や行政専用ネットワーク「LGWAN」にも対応しているため、高いセキュリティ要件が求められる企業や自治体でも導入しやすいサービスです。

■「QT-GenAI」のセキュアなネットワーク環境の例

6.2. RAGで社内データを安全に活用

QT-GenAI」のRAG機能を活用すれば、社内規程や契約書、業務マニュアルなどを参照しながら回答を生成できます。インターネット上の不特定多数の情報だけに依存せず、自社の情報にもとづいた回答を得られます。
また、部署ごとの閲覧権限設定にも対応しており、機密性の高い情報を適切に管理しながら運用可能です。

安全な環境で業務の効率化や回答品質の向上を実現したい方は、まずは下記からの資料ダウンロード、または「お問合せ」から、QT-GenAIの詳細をご確認ください。

ビジネスの課題を生成AIで解決!

QT-GenAI導入ガイド

監修者の紹介

東京弁護士法人
代表弁護士・税理士
森川弘太郎さん


東京都内3拠点(新宿東口法律事務所、立川法律事務所、八王子法律事務所)を構える東京弁護士法人を設立。企業法務・刑事事件・交通事故・不動産・相続など幅広い分野を取り扱っており、初回無料相談や土日祝日の電話受付なども行う。

東京弁護士法人
弁護士
坂本玲央さん


小・中・高と野球で培った体力を武器に、全力でお客さまをサポートすることを心掛けている。日本プロ野球選手会公認選手代理人も務める。

7. よくある質問

Q生成AIの成果物にも著作権はある?
A

生成AIの成果物も著作権が認められる場合があります。人が明確な「創作意図」と「創作的寄与」を持ち、プロンプトの設計や構成、表現の選択・編集などに創作的に関与した場合には、人が表現のための道具としてAIを利用したものと評価され、著作物に該当すると判断される可能性があります。

Q生成AIを活用したコンテンツで著作権侵害が起きた場合の企業への影響は?
A

生成AIを活用したコンテンツで著作権侵害が起きた場合、企業には「損害賠償や刑事罰のリスク」「差止や販売停止、廃棄のリスク」「ブランドの信頼性を失うリスク」などの影響があります。法的責任だけでなく、事業活動や企業イメージにも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

Q生成AIを活用したコンテンツで著作権侵害しないための企業対策は?
A

生成AIを活用したコンテンツで著作権侵害しないためには、企業内でガイドラインを整備し、従業員の教育を十分に行う必要があります。また、AIと著作権をめぐる法解釈や公的なガイドラインは、今後も更新される可能性があるため定期的な法的リスクの確認と共有も大切です。